今週のお題「自慢の一着」
母親が私が知らないうちに、私が好きだろう、着るだろうと買ってあった着物。
確かに好きだ。
なかなかない黄八丈だと当時言われた気がする。
でも、黄八丈と言えば、よく時代劇の町娘が着ているその名の通り黄色が典型的だが他には鳶色か黒色、緑色なんて見掛けない。
同居の姑も和裁仕立てる人だが種類は分からないらしい。
ほんとに黄八丈かまたは違うのか、お分かりの方いたら教えて下さい。
こんなのを買ったと実家で報告されたその頃は、もう都心へ出て一人暮らし、演劇修行中の身だったかと思うが、盆や年末年始はきちんと帰省していた。数年、帰る度に私用の着物が増えていた気がする。
何だか全部「気がする」が付いて申し訳ないがかなり昔の事なので、記憶が不確かだ。
母親は着物も仕立てるが、自身も好きで趣味に近かった。親類筋に呉服屋もあり、付き合いで購入した物もけっこうあった。
だから、母親も私も正月はよく着物を着た。
この着物には羽織もあって、近所の神社に初詣や年始回りには都合が良かった。
前の二十歳がお題のブログでは、振り袖を買わなかった代わりに訪問者を買ってもらって、帯を替えればおばあちゃんになっても着られる柄と色だという着物を載せた。
だが、これは?
ちょっともうあかん感じ。
これには、オレンジか朱の帯を合わせていたが、藍色とかならまだいけるかな……いや、五十のおばさんには可愛い過ぎる、残念だけどやっぱり無理があるな、長女行きか😅
着てくれるかが問題だ。
着て動くと絹独特のシャリシャリっと音がするし、とても軽くて楽な着心地。
亡くなった母親は自分がしてもらえなかった嫁入り仕度を娘2人にきちんとしてやりたく、準備をしていた。現金があるうちに、自分が生きているうちに。
着物がいくつかあれば、貴金属がいくつかあれば、もしお金に困る事があれば、質に出して何とかなるだろう、みたいな昔の考えがあったと思うが、「母ちゃん、残念ながら、昨今着物は二束三文ぜよ」
色々買う事に父の許可はいちいち取ってなく、父が私や妹がこんなにも衣装持ちだとは知らなかっただろう。
母親が亡くなった時、あちこち整理や、通帳や保険証書が隠してある所から色々出し申請なども手伝った。
しばらくしてから父がぼやいていた。
「会社万が一の事があるかもしれんで現金残しておいてくれよって言ってあったのに全然あらせんな、まだまだ一生懸命働かないかんな」
すんません、父ちゃん。
親って大変。
私は私にしてもらったような事は子供たちにはしてやれないが、今の世は、昔とはかなり違ってきている。でも、親としての心根は受け継いでしっかり持って生きたい。
虫干しも兼ねて、またこれも広げて少し袖を通してみようかな。