YK-akadoの『不』日記

元劇団女優・まだ細々俳優鬱治療中の旦那の両親と同居で頑張る2児の母・剣道に息子と通う有段者で役員、その息子は不登校児に・長年勤務の パート主婦 、色んな立場で感じた事やぼやきを書き綴り、最愛の子ども達に何か残ればいいな。

幽霊になった母ちゃん

今週のお題「怖い話」私には幽霊は見えない。霊感っぽいものは何となくあるのかも……って程度。
子供の頃、ひとだま、らしい物を御近所の葬式で見た。

なんか重苦しいな、ここ居るなって感じることもあるけど姿は見えない。
アッ!でも田舎、実家で数人のヒソヒソ声は聞いた。人なんているはずもない2階の外で。外は林だ。隣家はかなり離れている。

その体験は何度もあるな。

なんせ、私の実家の周辺は古戦場だ。近くには城跡もある。ちなみに、跡だけで建物、城はない、案内板だけ立っている。


私の亡くなった母は霊感があり時折幽霊を見た話をしていた。
その城跡の崖下、お堀跡になるのかなぁ、そこは小川が流れ田畑が広がっている。その一画に畑を借りていて母は家で食べる用に野菜を育てていた。
ある時、農作業に行っていたと思ったら慌てて帰って来た。

お城の方向に武将の幽霊が立っていたそうで怖くて走って帰ってきたらしい。

家までは徒歩3分ぐらいの距離だ。



病気で入院し、医者にもう助かる見込みはないと私達家族には言われたが、本人も分かっていたかもしれない。
入院のための準備に父と私が一旦家に帰り、病院に戻ると、いつ何時危篤状態になるか分からないし、手がかかるからだろう、ナースセンター横、直接往き来できる病室に入っていたが、看護師さんが、「さっきまで大騒ぎしていた」と困った顔で伝えてきた。


母はパニックになっていた。

しんどいから、もう騒ぐことはなかったが、私が側に行くと、「いやだ、ここ嫌だ。いっぱい居る。黒い影のような人達がいっぱいで、こっちを見てる」
なるほど。
多分、そうだ。
いっぱい居るだろう、ここ。
そう思った。

看護師さんにお願いして、部屋をかえてもらった。


ほどなくして意識も無くなったので、恐がって騒ぐこともなくなったが。



生前、母がよく言っていた事がある。

母の母は早くに亡くなった。母が中学生の時だ。だから、幽霊でもいいから会いたいって言っていた。
人が死んで幽霊に成れるなら、自分が死んでから幽霊になって現れて証明する。と言っていた。

でも亡くなってから、幽霊となって私の前には現れなかった。
いや、現れていたんだろうが、(多分、しつこいほど目の前に)私には見える力がなかったのだろう。夢枕?夢には何度か現れた。
でも現実世界で見えた事はない。私が見たくないと思っているから?

「なんであんたは見えないんだ、イラつくなぁ~、おーい、ここここ、気がついて~お姉ちゃん!」って言われいるような気がする。


私ではダメだと思ってか、長女が見た。




実家に弟家族、妹家族、そしてうちの家族で集まっていた。多分あれは、私の祖父の葬儀か法事(神道なので祭事だが)だったかと思う。
喪主であるべき父の方が先に亡くなったので喪主は弟だった。だからお嫁さんが喪服を着ることになり、母の喪服を弟の嫁さんに形見分けしていたので
妹と二人で着付けてあげたが、あるはずの喪服用の黒い帯締めがない。
実家の和装ダンスごと弟のお嫁さんに他の着物や喪服、留め袖など譲り、いつでも着れるように私と妹で整理したはず、母が亡くなってから。
お嫁さんは着物の事は全く分からないし、着付けももちろん出来ないが、長男の嫁として着物の機会も何度かあるだろうし、なんと言ってもサイズがぴったりなので喜んでもらってくれた。
私では大きすぎる。妹にもちょっと大きい。

そんな、まさに着物を着なくてはならない機会。
なのに帯締めだけが見つからなくて、当日仕方なく、私か妹のどちらかの帯締めを使ったかと思う。


ワイワイ、ガヤガヤと実家に3家族、総勢15人ほど、和室と隣のダイニングキッチンで、しゃべったり、遊んだり、キッチンではお茶後の片付けなどしながら、私は隣の和室越しに、キッチンの妹と弟の嫁さんと話していた。

ちゃんと準備しておいたのに、揃えておいたのにと着物専門クリーニング店に嫁に行った妹がしゃべっていた。
私と二人で父の部屋に置いてある和装ダンスの中を一生懸命探したのにね、おかしいね等々……

私の目の前に長女がいて、キッチンの方向を向いて旦那と話していたが、話の途中で急に喋らなくなり、旦那が「どうした?」と心配する声。
長女は旦那越しの奥、洗面所の方を見て恐怖で固まっていた。
その固まった娘の顔を見て「どうした?」
と声をかけ、その心配する旦那の顔を私が見て、「あれ?どうした?」と長女に聞く。



「今……黒い着物着た女の人が、スーッて、じいじの部屋に入って行った」


ばあばだ。つまり、母ちゃんだ。多分。
妹も同じ意見。


洗面所すぐの奥の部屋は亡くなった父の寝室だった所で、そこに母の和装ダンスが置いてある。


喪服を出して、帯締めも探したのに出て来なかった、二人で探したのに。
でも、長女が母ちゃんの幽霊を目撃してから、改めて和装ダンスを見たら、そこにあった。
紙袋に包んで入っていたから、葬儀当日に見逃しただけなのかもしれないが、事前に用意していた妹が自分で入れた紙袋に気がつかないとは。

「まったく、あんた達は!よく探しなさいよ、馬鹿だね~、ここにあるでしょうが!」と言われた気がする。
見えない娘達の代わりに、孫を怖がらせるのは気がひけただろうが、うちの長女に訴えたのだろう。


だから、うちの長女は未だに実家の父の部屋に入れないし、前を通って洗面所へ行くのも一人では行けず、付いていって、父の部屋のドアが目に入らないように私が身体でガードして、本人は小走りで通る。


長女の前で、この出来事を口にするのも厳禁だ。


すっかり、母ちゃんが怖くなってしまった長女だ。

すまない、母ちゃん。

そして、写真のため、自分の和装ダンスから喪服用小物を出して見た。
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まずい。帯締め
夏用の帯締めしかない。
弟の嫁さんに貸したのは私の冬用帯締めか?
ない。
実家にある?

すみません、母ちゃん、またよく探しますから、長女の前に現れないで下さい。