YK-akadoの『不』日記

元劇団女優・まだ細々俳優鬱治療中の旦那の両親と同居で頑張る2児の母・剣道に息子と通う有段者で役員、その息子は不登校児に・長年勤務の パート主婦 、色んな立場で感じた事やぼやきを書き綴り、最愛の子ども達に何か残ればいいな。

不登校長男の中学入学

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小学校卒業式に楽しく参加でき、中学校生活や制服の不具合などの会話も出てきて、行く体での話もしていたうちの長男。


中学校入学式当日、制服着替えリュック背負って玄関へ。

でも靴が履けない。

後退り。

「行けない」「無理」
座り込み動かない。


「怖いのは分かるよ、みんな同じ、緊張して行きたくないなぁ、式なんてめんどくさいなぁ、って思ってる子もいっぱい。でもどんな所か、どんな先生でどんな新しい友達がいるか、顔合わせだよ。行きなり、行こうって出来ないでしょ。ここ乗り越えないとまた行けないかもよ、また一日中家に一人で居るの?S君、待ってるよ、一緒にクラス掲示板見ようって」

玄関ドア側の土間で慣れないパンプス履いてスーツでしゃがんで、長男に声をかける。

靴棚の傍らで同じくスーツ姿で立ち尽くす旦那。


奥の台所からテレビのうるさい音と一緒に舅の舌打ち。
「しゃーねーなーまったく」とわずかに聞こえる。頼む、長男には聞こえませんようにと祈る。
誰の声も聴こえてないように、リュック背負ったまま横たわり機能停止状態。
うつろな目から涙がこぼれている。


受付終了時間が迫ってきていたので、S君ママにLINEで知らせる。

一人、玄関から外へ出て、学校に電話すると「あっ、来ないなぁって心配してて」と事情をご存知の先生が。「カウンセラーのNが来る来ないは別で、良ければ自宅に伺いますけどって言ってます。逆効果なら止めときますが」

近くとはいえ、わざわざ来て頂くのが申し訳ないが逆効果ではないかと思われますと伝える。

家に入ると、玄関には長男も旦那も居なくなっていた。

リビングにリュックだけ放ってあって、三階の自室に二人が居る様子。



部屋へ行くと制服のままベッドに倒れこんだままの状態で身動きせず、ただ目から涙。
そんな長男に「N先生、心配だから家に来てくれるって」と伝える。
旦那が床に敷きっぱなしの布団など慌てて片付け始めると、もう『ピンホーン』と呼び鈴。
先生、早っ!

玄関で長男の様子を伝え、上がってもらう。


「Kちゃん、大丈夫だよ、来れなくて大丈夫、Kちゃん。制服着れたじゃん、ここまで頑張れた。」とベッドに斜めに倒れこんだまま横たわる長男の背中をスリスリ。

そう、スクールカウンセラーN先生も「K君」ではなく、「Kちゃん」と呼ぶ。

『君』ではなく、『ちゃん』が相応しい、可愛い印象がずっと、ずっとそのままの息子。
それは、むしろ愛されキャラでポジティブ要素だと思う。


幼く、行きたいのに、行こうと思ってたのに、行けなかった自分を責め続けている。自分の殻の中で。戻って来ない。

「今日はここまで頑張ったから、ちょっとゆっくり休んでおこうか、Kちゃん。それでいいよ、先生に言っておくから大丈夫」

動かず涙だけ流す長男に声をかけてくれる。



「また午後、担任から電話あると思うし、元気出て来たら、後で担任と面談すればいいと思うので、無理しないでいいと思います。」

見慣れない私のパンツスーツ姿に。
「大変でしたね」
と労って頂き、学校へ帰って行かれた。



しばらく、ベッドの横にいて、気にしなくていいよ、と声をかけ、チクチク痛くて痒いズボンを履いたままだと湿疹が出ると思い、旦那と二人で脱がせて着替えさせた。

そのうち、疲れきって眠ってしまった。

旦那も私もスーツから普通の服に着替え、リビングで沈黙。


実は、勢いで行けたかもしれない状態だった。

通学用の白いスニーカー、新品で名前記入し、紐の調整して試しに履いたまま長男の机脇に置いてあった。
グズグズ言いながらも制服に着替え、先にリュックを背負ってしまったが、そのままそこにある靴を紐の調整具合を確認しながら履いた。
私は、靴も新品だし、そのまま玄関まで行って外に出ればいいと思っていた。

が、そこに旦那が「靴脱いで、手で持って、玄関で履けよ」

言われる通りにする長男。

そして、玄関で履けなくなる。



旦那が「俺があそこで靴脱げって言わなければ行けたかもな」
落ち込んでいる。

確かに。あの瞬間、「このまま行かせればいいのにー」って思ったが、旦那も否定の言葉をかけるとおかしくなるから言わなかった。


でも私が学校に電話中で見てない玄関から居なくなるまでの様子を聞きたかった。
ここにいても仕方ないから、部屋へ行こうと旦那が声をかけたら、自分で動いて階段を上がったらしい。
爺ちゃんが舌打ちとぶつぶつ言ってたんだけど
、聞こえてなかったかなぁと心配で言うと、旦那も実は聞こえていたとのこと。
「いや、Kには聞こえてないと思う、大丈夫」
と断言していた。
それなら、いい。


昼ごはんに食べそうなものを買いに行ってくると、旦那に告げ、外へ。
遅咲き種類の桜は満開だ。
中学校の体育館では式がそろそろ終わる頃。
みんな可愛い一年生になってるだろうな、あぁ~、見たいなぁ、とちょっと寂しくなる。
「良ければ、写真撮れたらちょっと送って欲しいなぁ」とS君ママにLINEしておき、買い物する。


昼も過ぎ、そろそろと部屋で声をかけると、ゆるゆると目覚める長男。
「あぁ~、入学式行けなかった~」と言葉に出た。
仕方ない、いいよ、もう過ぎたこと、気にしたらいかん、と声をかけ、お昼ごはん。
眠りと食事と動画で笑って、元気が出てきたところで、昼前の担任先生からの電話の内容を伝えてみる。


落ち着いて、来れそうなら一度会いたいし、色々渡す物がいっぱいあらから3時半頃学校に来れるかなぁって。

行けそうなら3時頃電話することになってる。


行ける、行く、と言う。

3時頃、確認し、行けそうですと電話。

でも、いざ3時半頃、着替えできず、動けなくなった。
電話して、私だけ面談。

担任は、長女の体育の先生で、長女を知っている。もうお一方は4月赴任してきた新しい方だか、お二人様ともママ先生。二人担任だ。
テキパキだが母的優しさが伝わってくる。
長男向きだと思う。
先生:「もし、来れたら校門で写真撮れるかなぁってちょっと思ってたんですけどね」
母:「私もそう思ってました」
先生:「やっぱり?朝、もう着替えられてたんですよね?」
と、入学式用のスーツにコサージュ付けた姿のお二人、同じ母の立場の気持ちを推し量ってもらえる。


書かなくてはならない書類をいっぱい、名札や生徒手帳も頂き、持ち帰る。

再度行けなかったことに落ち込んでいる長男。

どうも、登校する時間じゃないのに制服を着て外に出ることが、怖くなって動けなくなっていた。人目がすごく気になるのだと。

「先生が会いたいから、学校に来れないようなら家に家庭訪問に来てくれるって」
あんまりーなぁーの顔の長男。

翌日、今日も学校に行くのは無理だと、いつものペース、するとお姉ちゃんの親友ちゃんのお母さんからLINE。親友ちゃんの弟R君は長男と同級生で、また中学でも同じクラスになった。
「Rは他の子達と8時にドラッグストア角で待ち合わせて登校するそうですよ、良かったら一緒に」
「今日も無理そうだって。出掛けられそうで8時に間に合いそうなら一緒にお願いしますね」と返事。
すると、ピンポーン。
R君が誘いに来てくれた。
「K行ける?」
長男もパジャマ姿のまま、玄関に出て顔を見せる。「今日は無理そう。でもまた頑張って書類持って行ってみるって言ってる。ありがとうね。頑張ってね。いってらっしゃい」
涙が出てくる。有難い。

ほら、あんたは友達いっぱいいるの分かってる?世話がやけるけど、愛されキャラなんですけどね、おい、息子。


そして、夕方、ポストに長男宛の手紙が入っていた。
スクールカウンセラーN先生からだ。
黙々と読んで私に渡す。
ざっくりした内容は『自分を責めないでね。大丈夫だよ。ゆっくりでいいよ。担任の先生は二人とも優しい女のお母さん先生だよ。安心して。二人ともKちゃんに会いたがってるけど、ゆっくりでいいからね』こんな感じ。


1日休み、すっかり、いつもの長男の様子。


調子がよさそうな時に提案していた。
「提出しなきゃいかん書類あるから、目立ちたくない、みんなに紛れたいって言うなら、朝、みんなの登校と一緒に出て行って、校門に朝の挨拶でN先生立ってるから、担任先生に挨拶と書類渡して、N先生の部屋がどこなのか確認して帰ってくれば?逃げ込む部屋、N先生の場所、確認しといた方がいいでしょ?」
「うん」


そして、翌朝、ドキドキしながら着替えて準備、でも『時間までに急ぐ』ってことが出来ない。
ほんの一歩8時には間に合わず玄関を出た。
よし!
出られたけど、角にR君たちはいない。
「誰もいない、よし、帰ろう」と尻込み。

角には大きな女子が誰かを待っている。
ん?新制服、ってことは一年生、で、この辺りの子?と長男に話しかける。
長男も、あれ?マスク越しの顔を確認する、長男があいつは平気だと言っていた同じ町内のハーフの女子。
長男と私「えーっ、Cちゃんじゃんか、デカ❗️」
大きめ制服を着た大きく成長したCちゃんは、横に並んだ長男を更に小さく見せる。
そんな雑談していたら、向こうから、また、デカイ、今度は男子が一人こちらに歩いて来る。

母:「あ、あのデカイのS君じゃない?」
長男:「あぁ、あのデカさ、どうみてもサラリーマンなヤツはSだな」
手を振るが、誰に振ってるんだ?と後ろを振り返って自分にだとは思ってないS君。
長男の横に来てやっと
「K~っ?」と驚く。
入学式にもいないし、学校に来ると思っていなかったのだろう。
仲良し君が来た。
やった😆🎶
ちょうど信号が青、「一緒に行っておいで」と送り出す。
一番大きいS君と一番小さい長男K、かなり目立つ凸凹コンビ。

行っておいで。頑張って。きっと大丈夫。
と泣きそうなのをこらえて見送る。


心配しながら家で小一時間待つと、勢いよく笑顔で帰宅し「N先生も一緒に来てるぞ」
スクールカウンセラーN先生が送ってくれた。

「今日はよく頑張りました。担任とも面談出来てました」と。カウンセラー室の一つも見学してきたそう。
やっとの制服姿に、玄関で写真。
滅多に撮れないN先生とツーショットもゲット。
ちなみに、スクールカウンセラーN先生、スリムでイケメン。ふわ~ッとした優しい声の持ち主。人気者で、長女も大好き。
さっそく、長女のLINEに写真送っておく。


朝の登校時、シャツの一番上のボタンをはめずに行った長男はS君に、はめなくてはいけない決まりだと聞いて、はめようとしたが新品のため固くてできず、「Sがやってくれた」と。
いやー、もうS君をパパと呼びたい。
ありがとう。

担任から、「会えて嬉しかった、今日は100点」との手紙を持ち帰り、電話では「人なつっこくて、可愛いって印象です」と電話をもらった。
可愛いとは絶対言われると思ってましたが。


皆さん、みんな、ありがとう。
いろんな人の優しい手助けで、長男の中学入学がスタートしました。

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